ダイランチン性歯肉増殖症(読み)ダイランチンせいしにくぞうしょくしょう(その他表記)Dilantin gingival hyperplasia

六訂版 家庭医学大全科 の解説

ダイランチン性歯肉増殖症
ダイランチンせいしにくぞうしょくしょう
Dilantin gingival hyperplasia
(歯と歯肉の病気)

どんな病気か

 抗けいれん薬であるダイランチン(フェニトイン、アレビアチン、ジフェニルヒダントインなど)を服用した場合の副作用として、歯肉が硬くはれあがり、はなはだしい場合は、歯を完全に埋めつくすほどにはれることもあります(図40)。

 発現頻度は服用者の約50%であり、比較的若い人に多くみられますが、性差はないとされています。

 歯肉のはれる程度は、口腔清掃状態と関連があるといわれています。よくはれる場所は前歯の唇側(外側)で、口のなか全体がはれることもありますが、歯がなくなるとはれは引いてしまいます。

治療の方法

 原因は、ダイランチンの影響で歯肉中の線維芽細胞(せんいがさいぼう)が活発に分裂し、増殖肥厚が起こると考えられています。

 したがって、この薬の服用を中止することも考えられますが、ダイランチンはてんかんの主治療薬なので、それができない場合もあります。歯肉のはれが、口腔清掃状態、すなわちプラーク量と関係があることから、治療の基本は口腔清掃指導から開始されます。

 次いで、スケーリングを行いますが、歯肉が線維性に肥大している場合は、はれがなかなか引かず、ポケットも浅くなりません。そのような場合は、口腔清掃をしやすい環境をつくるため、またポケットを浅くするために、外科的にはれている歯肉を切り取ります。

 適切な口腔清掃状態を維持することができれば、再発は起きにくいとされています。しかし、ダイランチンは基本的な運動機能も抑制するため、患者さんが口腔清掃を良好に維持することは困難になり、再発することが多くなります。


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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