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チェルノブイリ・ハート ちぇるのぶいり・はーと

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知恵蔵の解説

チェルノブイリ・ハート

チェルノブイリ原発事故から16年後の2002年、今なお放射線汚染に苦しむ人々、とりわけ子どもたちの被曝(ひばく)の実態に迫ったドキュメント短編映画。監督マリアン・デレオ、米・ウクライナ合作、03年公開。第76回アカデミー賞短編ドキュメンタリー部門でオスカーを受賞している。タイトルは、原発周辺地域で心臓に障がいを持つ子どもが多く生まれたことから付けられた。放射線の影響が心配される現地では、変形した心臓を「チェルノブイリハート」と呼んでいる。
撮影隊は、エイディ・ロッシュが主宰するNGO「チェルノブイリ子どものプロジェクト」の支援活動に同行。放射能という「見えない暴力」の最大の被害者である子どもたちの現状を追って、国土の99%が汚染されたというベラルーシ共和国の医療施設や孤児院(遺棄乳児院)、集中治療の現場を回る。映し出されるのは、甲状腺がん手術の傷跡「ベラルーシの首飾り」が残るティーンエージャーや、水頭症などの先天性奇形で捨てられた乳幼児の姿など、目を覆いたくなるような現実の数々である。孤児たちのケアに努めるロッシュは「個々の症状に放射能の影響を特定することは難しい」と言いながら、「こうした実態が間違いなく因果関係を語る」と放射線汚染の恐ろしさを告発する。
合間には、「ベラルーシの新生児死亡率は他のヨーロッパ諸国の3倍」「ゴメリ市(原発から約80キロメートル)では事故後、甲状腺がん発生率が1万倍に増加した」などという異常な数値や、ゴメリ市立産院主任医師の「健常児が産まれる確率は15~20%ぐらい」というショッキングな発言も挿入されている。福島原発事故を受け、日本でも11年8月以降、全国各地で公開された。

(大迫秀樹  フリー編集者 / 2012年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
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