(内海孝)
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幕末のフランス外交官、駐日フランス公使。1809年9月27日、フランスのグルノーブルに生まれる。北アフリカの植民地にあってアラビア語の通訳官、外交官を務め、チュニス総領事を経て1864年(元治1)3月来日、初代フランス公使ベルクールP. du Chesne de Bellecourtの後任として第2代フランス公使に就任した。積極的にフランス外交を推進して幕府政権を支持し、1865年(慶応1)横須賀(よこすか)製鉄所の建設を請け負い、横浜仏語学校を創立して幕臣の教育に供した。1866年には彼の建議に基づきフランスから経済使節団を来日させて借款・武器売り込みの契約を結び、1867年にはフランス人軍事顧問団を招いて幕府に軍制改革を着手させた。徳川慶喜(よしのぶ)が将軍職につくと幕政改革の構想を建言して幕府中心の統一政権確立に努めた。これら一連の政策はイギリスの対日政策に対抗するもので、イギリス公使パークスとの対立を深めたが、1866年、本国政府の政策が極東での対英摩擦回避の方針に転換したため帰国命令を受け、1868年には幕府が倒壊し、同年帰国し退官した。対日外交政策の一環としてフランス文化の移入を重視し、また1867年のパリ万国博覧会への日本の参加にも全面的な援助を与えて日本文化の紹介にも貢献した。
[加藤榮一]
フランスの天文物理学者、地球物理学者、数学者。モンペリエに生まれ、1844年にモンペリエ大学を卒業、パリ天文台の研究生を経て、1849年モンペリエ大学の講師、1852年に数学教授になり、1881年に引退するまで務めた。1873年からパリ科学アカデミーの通信会員。
天体の自由表面の形と内部構造を研究し、1848年、ロッシュ限界(惑星や衛星が破壊されずにその主星に近づける限界の距離のこと)を計算した。そして土星の環(わ)が、土星に近づきすぎた衛星が破壊されてできたものであると説明した。また重星系で重力相互作用を受ける自由表面(たとえば海面)の形状を計算するロッシュ・ローブを定義づけた。1859年には彗星(すいせい)の形状を太陽からの斥力効果で説明、1873年にはラプラスの星雲説を分析し、成立条件を示した。数学では、テーラー展開の余剰項に関する研究で知られる。
[編集部 2023年6月19日]
フランスの外交官,駐日フランス公使。グルノーブルに生まれ,1828年バカロレア取得後グルノーブル大学に入学したが6ヵ月で退学。32年アルジェリアに渡りアラビア語を学んだばかりかイスラム教徒となり,Si Omar ben Roucheと改名,アルジェリアを治めるアブデル・カデルの側近となった。のちフランス軍の通訳官となり,49年タンジールの領事に任命されるまで軍籍にあった。57年在チュニス総領事,代理公使となり,1864年(元治1)56歳で全権公使として江戸に赴任した。長州藩に対して強行論を唱えるイギリス公使オールコックと対立し幕府に接近,初代フランス公使ベルクールと意見が合わず帰国していたメルメ・ド・カションを起用して幕府を援助,横須賀製鉄所,横浜フランス語学校を開かせたり軍制改革に助力したりした。王政復古に当たっては徳川慶喜に軍資・武器の提供を申し出て再挙を勧め断られた。68年(明治1)帰国命令を受けフランスに戻り再び公職には就かず,32年間のイスラム世界での生活の回顧録を84年に出版した。その後,日本での生活の回顧録も準備したが完成せず,ニースで没した。
執筆者:松原 秀一
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1809.9.27~1900.6.23?
幕末期の駐日フランス公使。グルノーブル大学中退後,父親のいるアルジェリアに渡り,アフリカ駐屯軍の通訳官となる。アラブの風俗・習慣・言語に精通し,一時アブデル・カデルの顧問も勤めた。1846年その活躍が認められて外交官職に転じ,トリエステ,トリポリ,チュニスの各領事・総領事などを勤めたあと,64年(元治元)ベルクールの後任として来日。横須賀製鉄所建設,横浜仏語伝習所設立,幕府軍の三兵教練のためフランスから技師や軍人を招聘するのに尽力し,幕府を積極的に支援した。しかし召還命令をうけ,幕府崩壊後の68年(明治元)6月帰国。
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…さらにアジアでは,中国への進出の狙いをこめて1858年に始まったインドシナへの介入は,87年のフランス領インドシナ連邦の成立をもって確固たるものとなった。この1858年は,日本との間に日仏修好通商条約が結ばれた年でもあり,ほどなく駐日公使ロッシュを通じての幕末政局への介入が始まることになる。こうして,19世紀後半を通じて形成された植民地帝国は,第2次大戦後まで維持され,戦後その独立をめぐり,第1次インドシナ戦争(1946‐54),アルジェリア戦争(1954‐62)と,長期にわたる植民地戦争の泥沼に足をとられることとなった。…
※「ロッシュ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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