福島原発事故(読み)ふくしまげんぱつじこ

改訂新版 世界大百科事典 「福島原発事故」の意味・わかりやすい解説

福島原発事故 (ふくしまげんぱつじこ)

福島第一原子力発電所事故ともいう。2011年3月11日,東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)による震度6強の地震と高さ15mの津波東京電力福島第一原子力発電所を襲った。このため1~4号機(いずれも沸騰水型軽水炉,4号機は定期点検で休止中)は非常用電源をすべて失い,原子炉は自動停止したものの冷却機能を喪失した。1~3号機では炉心溶融(メルトダウン)が起き,水素爆発も起きたため大量の放射性物質が放出された。放出量は77万テラベクレル(テラは一兆倍)で,チェルノブイリ原発事故の520万テラベクレルに次ぎ,事故の国際原子力事象評価尺度(INES)ではチェルノブイリと同様,最悪のレベル7に認定された。なおスリー・マイル・アイランド原発事故はレベル5。

 政府は4月,第一原発の半径20km圏を住民も立入り禁止とする警戒区域に,その外側の30km圏を緊急時避難準備区域に指定し,当該地域9町村(福島県の広野・楢葉・富岡大熊双葉浪江の6町と川内葛尾(かつらお)・飯舘の3村)の住民は役場機能を含め県内外に移転した。農林水産物や土壌放射能汚染が広範囲に起きた。政府は12月,原子炉が〈冷温停止状態〉に達したと発表した。

 事故に伴う東京電力の損害賠償を進めるための原子力損害賠償支援機構が9月発足。また12月7日には,政府は1兆円を東京電力に出資し,事実上国有化した。事故検証のための調査委員会が国会,政府,民間,東京電力の4者によりそれぞれ設けられ,各報告書が出された。国会事故調査委員会は12年7月,事故を〈人災〉と指摘した。
原子力発電論争
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「福島原発事故」の意味・わかりやすい解説

福島原発事故
ふくしまげんぱつじこ

福島第一原子力発電所事故

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