日本大百科全書(ニッポニカ) 「チョタ・ナーグプル高原」の意味・わかりやすい解説
チョタ・ナーグプル高原
ちょたなーぐぷるこうげん
Chota Nagpur Plateau
インド北東部、ビハール州を中心に広がる高原。中央部をダモダル川が東西に流れ、深い谷によって刻まれる所もあるが、準平原化が進み孤立した残丘の発達するランチ台地、ハザリバーグ台地を含む。面積は6万6000平方キロメートル、高度は300~700メートルの地域が多い。主として先カンブリア時代の花崗(かこう)岩、片麻(へんま)岩や古生代の岩石によって構成され、豊富な鉱産資源を埋蔵する。ランチ台地南東部の銅はインドのほぼ全産出量を占めるほか、ダモダル川流域の石炭、ハザリバーグ台地中央部の雲母(うんも)、ランチ台地北西部のボーキサイトもインドの産出量の約2分の1を占める。鉄鉱石の産出量は全国の40%に達する。これらの鉱産資源をもとにジャムシェドプル、ランチ、ボカロなど、製鉄、機械、金属などの重工業を中心とする工業都市が形成され、ダモダル川の総合開発も伴って、インド最大の工業地帯の一つとして発展している。台地上は耕地化が進むが、自然植生も残存し、林産資源としても価値が高い。台地上にはコルカタ(カルカッタ)とインド主要都市を結ぶ幹線鉄道網が広がる。住民はサルタン人、ムンダ人などが多い。
[中田 高]