日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダモダル川」の意味・わかりやすい解説
ダモダル川
だもだるがわ
Damodar
インド東部、ビハール州、西ベンガル州を流れる川。チョタ・ナーグプル高原に発し、東南東流してコルカタ(カルカッタ)の南西でガンジス川の分流フーグリ川に合流する。全長625キロメートル、流域面積2万2000平方キロメートル。流域はインド最大の石炭産地であり、ボーキサイト、石灰岩、雲母(うんも)などの鉱産資源に恵まれ、古くから工業が発達し、ボカロ、アサンソル、ドルガプルなどの重化学工業都市がある。流域の年降水量は約1200ミリメートルであるが、モンスーンの7~10月に集中するため氾濫(はんらん)を繰り返し大きな被害を与えたため、かつては「悲しみの川」とよばれた。1948年以後ダモダル河谷総合開発計画の実施により、四つの多目的ダムが建設され、灌漑(かんがい)、洪水防止、発電が可能となった。豊富な石炭をもとにボカロ、アサンソルなどに三つの火力発電所を建設、上流には灌漑と土壌保全のために小規模ダムが多数つくられた。また、下流のドルガプルには40万ヘクタールの田畑の灌漑が可能な堰(せき)が建設されるとともに、フーグリ川と炭田地帯を結ぶ長さ120キロメートルの運河が掘削された。
[中田 高]