チーロン(基隆)市(読み)チーロン(英語表記)Jilong

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チーロン(基隆)市」の意味・わかりやすい解説

チーロン(基隆)〔市〕
チーロン
Jilong

タイワン (台湾)北端にある市。中国国民党政府のタイワン省直轄市。キールン Keelungともいう。東はシュエシャン (雪山) 山脈,西はタートンシャン (大屯山) 山地に挟まれて,平地は少ない。東シナ海から深く湾入した沈降地形による良港を擁する。タイワンでは南部のカオシュン (高雄) 市と並ぶ国際港で,タイペイ (台北) 市の外港でもある。17世紀にスペイン人が湾口のホーピン (和平) 島にサンサルバドル城を築き,極東貿易の根拠地とした。天津条約により咸豊11 (1861) 年に開港。日本領時代に港湾施設の整備が進んだ。湾内は内港,外港,漁港に分かれ,岸壁,倉庫などが整備されている。鉄道,縦貫高速道路の起点で島内全域と結ばれる。「雨港」の名があるように,世界有数の多雨地で,特に北東季節風の吹く 10月~4月には雨天日数が月平均 21日に達する。造船製鉄石炭,肥料などの工業があるほか,漁業も盛んで,水産加工業が発達。おもな輸出品は紡織品,農産加工品,米,パイナップル,バナナ,チャ(茶)など。輸入品は綿花コムギ,化学肥料,機械,石油などである。湾口に海水浴場がある。面積 133km2人口 39万397 (2008推計) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android