タイペイ市(読み)タイペイ(英語表記)Taibei

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タイペイ市」の意味・わかりやすい解説

タイペイ(台北)〔市〕
タイペイ
Taibei

タイワン(台湾)の中心都市。中国国民党政府の所在地で,タイワン省と同格の直轄市。タイワン島北部のタイペイ盆地の東半を占め,北部はタートンシャン(大屯山)山地ヤンミン(陽明)山一帯を含む。亜熱帯気候で,月平均気温は 1月で 16℃,7月で 28℃。年降水量は 2100mmで,6~9月に集中する。中心市街地はタンシュイ(淡水)河の東岸で,支流のシンティエン(新店)渓とチーロン(基隆)河の間に広がる。18世紀初期からタイペイ盆地に漢民族入植が進展するに伴い,海洋渡航のジャンク船の航行上限でもあったシンティエン渓の河口に港が開かれた。のち土砂の堆積によって河港は 2km下流に移り,ウーロン(烏竜)茶の積み出しを中心に発展。19世紀後半,城壁で囲まれた新市街がつくられ,タイワン省の省都がタイチョン(台中)市から移された。以後はタイワンの政治,経済,文化の中心地となり,日本領時代に城壁は取り払われて市街の近代化が進められた。第2次世界大戦後,市街は拡大し,旧城内が政治,経済の中心地区,北東部とタンシュイ河対岸のサンチョン(三重)市が工業地区となった。工業は金属,機械,化学,紡織,食品が主である。また市街地とその周辺にはタイワン大学,師範大学をはじめ多くの研究・教育施設があり,図書館,歴史博物館,故宮博物院,科学館,動物園,植物園などの文化施設が集まっている。交通の要地でもあり,東部に空港があるほか,鉄道と縦貫道路の起点で島内全域と結ばれる。ヤンミン山のふもとにはペイトウ(北投)温泉,山間にはヤンミンシャン陽明山)温泉や公園があり,市民の保養地となっている。史跡名勝地としては市内に竜山寺孔子廟城隍廟南郊タイペイ(台北)県ムーチャー(木柵)に道教の指南宮がある。面積 272km2。人口 261万8772(2011推計)。

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