日本大百科全書(ニッポニカ) 「テオドロス(2世)」の意味・わかりやすい解説
テオドロス(2世)
ておどろす
Tewodros Ⅱ
(1818―1868)
エチオピアの皇帝(在位1855~68)。国内の群雄割拠の時代に終止符を打った、近代統一国家建設の先駆者として知られる。ソロモンの血を引くと自称する北部の名家に生まれ、幼名をカッサといった。1855年ごろまでに北部を平定、エチオピア教会大主教からネグス(皇帝)の称号を与えられ、テオドロスと改名した。その後、南部の豪族も押さえエチオピアの再統一を果たした。しかし、税制改革、軍隊の統一、奴隷売買の禁止など、激しい近代化政策を実施したため各地に反乱が生じた。同じころイギリス女王に出した親書がイギリス外務省に無視され、回答がなかったことに激怒した皇帝は、イギリス領事を監禁した。しかし、1868年ネイピア将軍の率いるイギリス軍にマグダラで敗れ、自害した。
[青木澄夫]