改訂新版 世界大百科事典 「テクトナイト」の意味・わかりやすい解説
テクトナイト
tectonite
広義には,定向配列を示す内部構造を持った岩石の総称。この場合,すべての岩石はテクトナイトと非テクトナイトとに区分される。狭義には,定向配列が岩石生成後の変形作用に原因のある場合を指し,これを二次テクトナイトまたは変成テクトナイトと呼ぶ。二次テクトナイトはさらに,面状構造の卓越するSテクトナイト,線状構造の卓越するBテクトナイト,およびある種の回転を伴う変形の結果できるRテクトナイトに区分される。これに対して一次テクトナイトといわれるものは,岩石構造の定向配列が火成岩や堆積岩の生成時にできるような初生的な場合である。しかし,堆積物の続成作用でできる定向配列のように,一次,二次のいずれとも決めにくい場合もある。また,変形作用終了後の再結晶作用や鉱物の新生作用でできる定向配列は,一般に既存の構造を強めることが多く,こういうものを模写テクトナイトという。
執筆者:植村 武
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報