日本大百科全書(ニッポニカ) 「テル・ハラフ」の意味・わかりやすい解説
テル・ハラフ
てるはらふ
Tell Halaf
シリアのトルコ国境に近いメソポタミア北部にある遺跡。ユーフラテス川に注ぐハーブール川が、平原で大きく北東に湾曲した所に位置する。紀元前5000年と想定される先史時代とアッシリア時代の遺跡で、先史時代はアルパチア、テペ・ガウラなどとともにハラフ期という文化期が設定されている。精巧につくられた彩文土器は、粘土を水漉(みずこ)しし、よく磨研され、化粧土もかけられている。彩文は動物文、幾何学文、人物文が描かれ、器形も種類が多い。装身具も発達し、スタンプ印章も金属器もつくられている。アッシリア時代のものは神殿、大宮殿の遺跡で、内部にはサソリなどの浮彫りがなされている。宮殿の南方には南城門があり、これらは前11世紀ころのアラム王国の宮殿であったことが知られている。
[糸賀昌昭]