ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ディレンマ」の意味・わかりやすい解説 ディレンマdilemma 両刀論法。形式論理学の用語。三段論法の一種で,2つの仮言的命題を結びつけてともに肯定する大前提と,この前提部分を選言的に肯定するかまたは帰結部分を選言的に否定する小前提とをもつ。たとえば「忠ならざれば不正義。孝ならざれば不正義」,「しかるに忠ならんとすれば孝ならず,孝ならんとすれば忠ならず」,「ゆえにどちらにしても不正義」のたぐいである。ディレンマは必ずしも困った結論を導くとはかぎらないが,もともとそれが論難のための修辞的手段として用いられたものであるため,通俗の用法では,どちらを選んでも解決できない板ばさみの窮境をさす意味に用いられる。なお,小前提の選言肢が3つ以上ある場合は,ポリレンマ polylemmaと呼ばれることもあるが,これも広義のディレンマに属するといえる。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
日本大百科全書(ニッポニカ) 「ディレンマ」の意味・わかりやすい解説 ディレンマでぃれんまdilemma 英語Dilemma ドイツ語 ジレンマともよび、両刀論法ともいう。ありうべき場合を二つにわけ、そのどちらを前提としても同じ結論に至ることを示し、そのことからその結論が避けがたいことを主張する論法。形式でいえば、「AかB AならC BでもC ゆえにC」となる。Cとして論敵の受け入れにくい命題をとるときには、論敵を追い詰めるのに強力な論法とされる。また、進退窮まる状況になったことを「ディレンマに陥った」などという。[吉田夏彦] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例