日本大百科全書(ニッポニカ) 「トラウベ」の意味・わかりやすい解説
トラウベ
とらうべ
Moritz Traube
(1826―1894)
ドイツのコロイド化学者、生理化学者。2月12日、シレジア(現在ポーランド領)に生まれる。ベルリンで学んだのち、ギーセンに移り、リービヒのもとで修学、21歳で学位を得た。優れた医師であった兄の影響でまず医学を志したが、結局家庭の事情などで化学の道に入った。今日の酵素化学、筋収縮の生化学にあたる領域でも先駆的な業績をあげたが、もっとも有名なものは、無機沈殿反応を利用した半透膜の製出で、後のプフェッファーの浸透圧の実験や、ファント・ホッフの理論の基礎となったものである。1894年6月28日、ベルリンで死去した。
[中川鶴太郎]