脳貧血（読み）ノウヒンケツ

デジタル大辞泉

のう‐ひんけつ〔ナウ‐〕【脳貧血】

脳の血液循環量が一時的に減少した状態。起立性低血圧・ショック・失血などによって起こり、顔面蒼白・冷や汗・めまいなどの症状が現れ、意識を失うこともある。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

のう‐ひんけつナウ‥【脳貧血】

1. 〘 名詞 〙 脳を流れる血液が急激に不足するために起こる状態。血管の緊張を支配する自律神経の異常による場合と、大出血、心臓衰弱などによる場合がある。症状としては、目の前がまっくらになり、一時的に意識を失ったりする。
   1. [初出の実例]「種々な心配をした為か、急に脳貧血を起したのである」(出典：魔風恋風（1903）〈小杉天外〉後)

出典　精選版 日本国語大辞典

日本大百科全書(ニッポニカ)

脳貧血
のうひんけつ

急性に脳の循環不全をおこした場合に現れる症状で、立ちくらみに似て、眼前の暗黒感ないし一過性の視力障害に引き続いて意識障害ないし失神発作をおこしてくるものである。自律神経障害をもっている場合には、起立性低血圧のためにしばしば脳貧血症状ないし失神発作をおこしてくる。心不全や循環障害ないし呼吸不全に伴って脳貧血発作をおこすこともまれではない。治療は、原因を確かめて対策を講ずるのがよい。

［里吉営二郎］

[参照項目] | 意識障害 | 起立性調節障害 | 失神

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

百科事典マイペディア

脳貧血【のうひんけつ】

脳の血流が不足して起こる障害。頭痛，あくび，冷汗，嘔吐(おうと)，めまい，耳鳴り，意識消失などを呈する。原因は急激な失血，心不全，精神感動，過度の運動，長時間の入浴，飢餓など。静かに横臥(おうが)し，衣服をゆるめ，原因療法を行う。
→関連項目起立性調節障害

出典　株式会社平凡社

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

脳貧血
のうひんけつ
cerebral anemia

脳の血液循環が悪くなって起る機能障害。ストレスなどに起因する血管運動神経のけいれんによって，脳の小動脈が収縮して起る急性の脳貧血と，重症の貧血など，いわゆる全身貧血症の部分症状として起る慢性の脳貧血とがある。典型的な症状は失神であるが，横に寝かせればすぐ意識が戻る。対策としては，まず原因を発見し，それを除去することに努めるほか，習慣性のものもあるから，自律訓練法や精神安定剤を応用した「条件はずし」が行われることもある。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

改訂新版　世界大百科事典

脳貧血 (のうひんけつ)

→失神

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

栄養・生化学辞典

脳貧血

　一過性の脳虚血発作によりめまい，たちくらみなどの症状を呈すること．

出典　朝倉書店

世界大百科事典（旧版）内の脳貧血の言及

【起立性調節障害】より

…学童期に多い病気なので学校保健上大きな問題になっている。主要な症状は，(1)立ちくらみ，あるいはめまいを起こしやすい，(2)立っていると気持ちが悪くなり，ひどくなると倒れる(脳貧血)，(3)入浴時あるいはいやなことを見聞きすると気持ちが悪くなる，(4)少し動くと動悸あるいは息切れがする，(5)朝なかなか起きられず，午前中調子が悪い。以上の5項目で，これらは起立性調節障害の診断基準の五大症状といわれ，この病気の患者には少なくとも一つ以上みられるものである。…

【失神】より

…一般には脳貧血ともよばれ，脳の循環障害により一時的に血流が低下することによって起こる短時間かつ一過性の意識消失をいい，通常，器質的病変を伴わない。発症は急激ではあるが，意識を失うまでには2,3秒を要することが多く，四肢冷感，発汗，霧視などの前兆を伴うこともある。…

【貧血】より

…一般に貧血といえば，〈立ちくらみ〉など起立性低血圧症による，いわゆる脳貧血(失神)をさすことが多いが，医学的には，血液中のヘモグロビン濃度が低くなった状態をいう。また，身体の一部分に血がなくなることも貧血ということがあるが，この場合は，ふつう虚血といって区別される。…

※「脳貧血」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」