日本大百科全書(ニッポニカ) 「プフェッファー」の意味・わかりやすい解説
プフェッファー
ぷふぇっふぁー
Wilhelm Friedrich Philipp Pfeffer
(1845―1920)
ドイツの植物学者。生家は曽祖父(そうそふ)の代から薬局を経営していた。徒弟生活ののち、薬剤師の資格取得のためゲッティンゲン、マールブルク両大学で植物学・化学・薬学を学ぶ。しだいに植物学研究を志すようになり、プリングスハイムNathanael Pringsheim(1823―1894)やザックスに師事した。マールブルク大学私講師(1871)、ボン大学(1873)、バーゼル大学(1877)、チュービンゲン大学(1878)、ライプツィヒ大学(1887)の教授を歴任。蘚(せん)類の分布の研究に始まり、進化学・発生学にも関心を向けたが、のち植物生理学に転じ、呼吸と光合成、タンパク質代謝、走化性、睡眠運動、浸透作用など多方面の研究を行った。とくに浸透作用に関しては、素焼円筒を用いて人工半透膜をつくり、温度・溶質濃度と浸透圧の関係を定量的に研究し(1877)、浸透圧理論の基礎を築いた。日本からは三好学(みよしまなぶ)、柴田桂太(しばたけいた)らがプフェッファーのもとに学んだ。
[檜木田辰彦]