ドライヤー委員会(読み)ドライヤーいいんかい(英語表記)Dreyer Commission

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドライヤー委員会」の意味・わかりやすい解説

ドライヤー委員会
ドライヤーいいんかい
Dreyer Commission

国際労働機関 ILO結社の自由実情調査調停委員会から派遣された ILO87号条約 (結社の自由および団結権の保護に関する条約) に関する対日実情調査調停委員会。委員長は E.ドライヤー。 1958年4月 30日総評と機関車労働組合は,団体交渉が拒否され争議行為が禁止されているとして ILOに提訴した。 64年同委員会はジュネーブに日本政府と労働組合代表を呼び,証人審問を行なったのち,65年1月来日し,約2週間にわたって調査と調停に従事公共部門における争議行為の適法性または違法性は,争議行為の性質によるとし,労働問題全般について意見を交換する政府と労組側との定期会合の開催などを提案した。この定期会合は同年5月実現。同年8月同委員会の最終報告書「日本における公共部門に雇用される者に関する結社の自由実情調査調停委員会の報告書」が ILO理事会に受理され審議は終了したが,同報告書は労働者側の主張を大幅に認めたものであった。日本は同年6月 14日 ILO87号条約を批准し,1年後に発効した。

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世界大百科事典(旧版)内のドライヤー委員会の言及

【スト権奪還闘争】より

…法律で争議行為を禁止されている公務員および公共企業体職員の争議権を回復するための労働組合の闘争をいう。1945年制定の労働組合法では公務員にも争議権が認められていたが,以下にのべる経過で争議行為は禁止されるに至った。1948年7月マッカーサー書簡にもとづいて発せられた政令201号は,現業を含むすべての公務員の争議行為を禁止し,続いて同年12月改正施行された国家公務員法は,職員団体の結成は認めたが,その構成員を職員に限定し,団体交渉権を制限し,かつ争議行為を全面一律に禁止し,その〈遂行を共謀し,そそのかし,もしくはあおり,又はこれらの行為を企てた者〉に刑罰を科することとした(1951年2月施行の地方公務員法も同様の措置を講じた)。…

※「ドライヤー委員会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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