ドレフュス事件(大仏次郎作の史伝)(読み)どれふゅすじけん

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ドレフュス事件(大仏次郎作の史伝)
どれふゅすじけん

大仏次郎(おさらぎじろう)作の史伝。1930年(昭和5)5~10月『改造』に連載、同年天人社刊。フランス第三共和政の土台を揺さぶった政治的事件を主題とした作品。1894年に国防上の機密文書をドイツに売った疑いでドレフュス大尉は告訴されるが、この事件をめぐって世論は沸き立ち、政治問題となる。そして無罪が証明されたのちも真犯人は保守派によってかばわれたが、自由と正義の信念に基づいて闘いにたったゾラなどの文化人も少なくなかった。日本の軍国主義が台頭しようとする時期に、その時代的風潮に批判と警告を加えた史伝であり、作者の市民的良心を示す。『ブゥランジェ将軍の悲劇』(1935)、『パナマ事件』(1959)と続く歴史三部作の第一作にあたる。

尾崎秀樹

『『ドレフュス事件』(1974・朝日新聞社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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