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パナマ事件 パナマじけんAffaire de Panama

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

パナマ事件
パナマじけん
Affaire de Panama

1892年フランスで起ったパナマ運河会社疑獄事件。スエズ運河の成功で,国民的英雄になった F.レセプスはパナマ運河建設に着手したが,会社は多数の小株主の金を吸上げたまま行きづまった。これを隠そうとして,新聞や議会を買収,6億フランの社債を募集する立法を通過させたが,92年の秋,右翼の反ユダヤ人主義新聞『自由言論』によって,ユダヤ人の金融資本家 J.レイナックらがパナマ会社と政府,大新聞の間に入って総額 500万フランを贈賄したことが暴露された。レイナックは死体で発見され,レイナックをゆすっていたもう1人のユダヤ人銀行家 C.ヘルツはイギリスに逃亡した。政府もこの事実を認め,大スキャンダルとなったが,自殺者1名と数名の実力者が有罪になっただけで,もみ消された。急進社会党の党首 G.クレマンソーまでが連座して政界を退き,第三共和政は右傾化していった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

パナマ事件
ぱなまじけん
Affaire de Panamaフランス語

第三共和政初期のフランスに起こった政治的スキャンダル。1880年レセップスが創設したパナマ運河会社は、運河建設工事が設計上の誤りや黄熱病、雨期の氾濫(はんらん)などのため進捗(しんちょく)せず、そのうえ経理が乱脈であったため、数年後に資金が欠乏した。レセップスは富籤(とみくじ)を認める新法律を制定することを政府筋に要望、議会は88年6月にこの法律案を可決した。しかし、会社は翌年2月に破産し、小株主、社債応募者などの多数の被害者が出た。92年右翼新聞によって新法律制定に絡む運河会社と政治家との不正な関係が暴露され、調査の結果、100名以上の議員が連座する収賄事実が判明した。翌年の公判で前土木相と会社重役が有罪判決を受けたが、他の容疑者は政治的配慮から不処分となった。この事件は、議会主義共和制の信用を一時まったく失墜させ、また多くのユダヤ人が関与していたため、反ユダヤ主義的世論を強めた。[西海太郎]
『大仏次郎著『パナマ事件』(1960・朝日新聞社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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