ドービニャック(読み)どーびにゃっく(英語表記)abbé François D'Aubignac

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドービニャック」の意味・わかりやすい解説

ドービニャック
どーびにゃっく
abbé François D'Aubignac
(1604―1676)

フランス古典期の作家、批評家。パリ生まれ。父はヌムールの法官、母は大外科医アンブロアズ・パレの娘。1627年僧侶(そうりょ)となり、宰相リシュリューの寵(ちょう)を得、サロンにも出入りし、詩や劇を書くが凡庸。『演劇の実際』Pratique du théâtre(1657)で「真実らしさ」vraisemblance(フランス語)と、時の単一を重視し、少数の人物で長台詞(ながぜりふ)や傍白(ぼうはく)を避ける作法を説き、当時最高の演劇理論とされた。

岩瀬 孝]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドービニャック」の意味・わかりやすい解説

ドービニャック
Aubignac, François Hédelin, abbé d'

[生]1604.8.4. パリ
[没]1676.7.25. ヌムール
フランスの古典主義の理論家,劇作家。法律家の家柄で,母親は 16世紀の有名な外科医 A.パレの娘。ヌムールで弁護士の教育を受けたが聖職に転じ,オービニャック,次いでメナックの修道院長に任じられ,リシュリューの甥の家庭教師もつとめた。後年ヌムールに退き文学に専念し,当時の論争に進んで参加。長年努力してまとめた演劇理論書『演劇の実践』 La Pratique du théâtre (1657) はアリストテレス規範尊重,特に「三一致の法則」を最初に定め,「ほんとうらしさ」の必要と時と場所の一致をとりわけ強調している。

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