ハインリヒ・フォン・フェルデケ(読み)はいんりひふぉんふぇるでけ(英語表記)Heinrich von Veldeke

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ハインリヒ・フォン・フェルデケ
はいんりひふぉんふぇるでけ
Heinrich von Veldeke
(1140ころ―1210以前)

中世ドイツの詩人オランダのリンブルフ出身の騎士低地ドイツ語を用いた異色の作品によって、ドイツ中世宮廷文学の黄金期を開いた最初の大詩人。彼の叙事詩の代表作は1189年に完成した韻文の物語『エネイーデ』である。北フランスでつくられた『エネアス物語』(1150~55?)に素材をとり、古代英雄の世界を中世騎士の生活に移した。恋の情熱にとらわれながらも、なお騎士としての節度を失わぬ心がけを説く。ほかに恋の喜びを歌う27編の叙情詩がある。

[高津春久]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ハインリヒ・フォン・フェルデケ
Heinrich von Veldeke

[生]1140/1150頃
[没]1210頃
中世ドイツの宮廷騎士詩人。フランス語ラテン語をはじめ広い教養の持主で,プロバンストルバドゥールの作品の影響を受けたミンネザング (恋愛詩) ,フランス語の『エネアス物語』を翻案した韻文物語『エネイーデ』 Eneide (1174~90頃) がある。

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