バイオブタノール(読み)ばいおぶたのーる(英語表記)biobutanol

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

バイオブタノール
ばいおぶたのーる
biobutanol

サトウキビ、稲藁(いねわら)、廃木材など植物由来の資源からつくられるバイオ燃料の一種。原料である植物は成長過程で光合成により二酸化炭素を取り込むため、バイオブタノールを燃焼して二酸化炭素が発生しても自然界にとって差し引きゼロとみなすことができ、地球温暖化防止に役だつ環境配慮型燃料とされる。ガソリンやディーゼル燃料(軽油)に混ぜて使用する。
 バイオ燃料はほかにバイオエタノール、バイオディーゼルなどが実用化されている。エタノールは炭素が二つ結合した物質であるのに対し、ブタノールは炭素が四つ結合しており、ガソリン(炭素が4~10程度結合した炭化水素)成分に近い。このためバイオブタノールはバイオエタノールに比べ、(1)燃料効率(単位容積あたりのエネルギー価)が約3割高い、(2)ガソリンやディーゼル燃料への混合が容易で既存のエンジンや給油設備をそのまま利用できる、(3)空気中の水分を吸収することが少なく、設備の腐食の心配がない、などの利点がある。ブタノールには炭素原子が一本の鎖のようにつながったn(ノルマル)-ブタノールや、炭素原子が枝分かれしたイソブタノールなどの種類(異性体)があるが、とくにイソブタノールのオクタン価が高く、優れたバイオ燃料とされている。バイオブタノールのおもな製造法としては、(1)植物資源を発酵・抽出したバイオエタノールから化学合成する、(2)植物資源を特殊な菌で発酵させて直接バイオブタノールをつくる、の二つの方法がある。このうち化学合成法については、アメリカの化学大手デュポン社とイギリスの石油大手BP社などがバイオエタノール並みの価格で商業生産を始めているが、合成過程でエネルギーを使うため、かならずしも温暖化防止につながらないとの批判がある。一方、植物資源から直接つくる方法としては、アセトン・ブタノール菌で発酵させる手法(ABE発酵法)が知られているが、ブタノールの生産性が低く、副生産物ができてしまうといった欠点があった。出光(いでみつ)興産と地球環境産業技術研究機構(RITE)はABE発酵法とは異なる遺伝子組換え菌(コリネ菌)を使った発酵法で、2020年以降の商業生産を目ざしている。[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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