バクスター(James K. Baxter)(読み)ばくすたー(英語表記)James K. Baxter

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

バクスター(James K. Baxter)
ばくすたー
James K. Baxter
(1926―1972)

ニュージーランドの詩人劇作家。南島ダニーデンの農家の生まれ。オタゴ、ビクトリア両大学を経て、イギリスで学僕として苦学。以来1958年の日本、インド訪問のほかは、もっぱら郷土かウェリントンで暮らしたが、晩年北島ワンガヌイ河畔の先住民マオリの集落にコミュニティ「新エルサレム」を設立、落後者や麻薬中毒患者たちのために「裸足(はだし)ヒゲだらけの司祭」役をつとめた。1944年、10代で「護送団」に対しマクミラン・ブラウン文学賞が贈られ、ついで処女詩集『柵(さく)の彼方(かなた)へ』(1944)を刊行し神童といわれたが、1948年刊行の『風、豊穣(ほうじょう)の風』は、傑出した才能を確立した一編といわれる。以来最後のオックスフォード大学出版部刊の600ページを超える大冊『詩集』(1979)まで、約30巻の詩、劇、批評集を刊行。『詩選集』(1982)、『冷い春』(1996)、『バクスターの本質』(1993)は、韻文、散文選集で、没後も出版され続けた。1940年代のこの国の異才を放つ、活動的な天才作家だった。

[平松幹夫・古宇田敦子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android