バレーラ(英語表記)Juan Valera

改訂新版 世界大百科事典 「バレーラ」の意味・わかりやすい解説

バレーラ
Juan Valera
生没年:1824-1905

スペイン文学者。コルドバ県の生れで,外交官として諸外国に滞在(1848-96)するかたわら,1854年以降批評家として文学,思想,政治を論じた。古典通じ,広い教養と学識をもつこの批評家の全貌は,独特の懐疑主義と相まってとらえにくい。50歳で小説を書き始め,処女作《ペピータ・ヒメネス》(1874)ではアンダルシア風俗を背景にカトリック神秘思想を風刺している。ほかに自然主義の決定論を逆用した《三つ子の魂》(1895),伝奇的歴史小説《モルサモール》(1895)などがある。彼の小説は,端正な文体,軽妙な皮肉ユーモアに彩られ,人間と社会への深い洞察と批評精神に貫かれている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バレーラ」の意味・わかりやすい解説

バレーラ
Varela, Luís Nicolau Fagundes

[生]1841.8.17. サンタリッタ
[没]1875.2.18. ニテロイ
ブラジルの詩人。代表作『アメリカの声』 Vozes da América (1864) ,『歌と空想』 Cantos e Fantasias (65) ,『南の歌』 Cantos Meridionais (69) ,『アンシエッタ,または密林での福音』 Anchieta,ou O Evangelho nas Selvas (75) ,『ラザロの日記』 Diário de Lázaro (80) など。長男の死に際して書いた『苦難の歌』 Cântico do Calvárioは,ポルトガル語で書かれた最も美しく完璧な悲歌で,『アメリカの声』に収められている。

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世界大百科事典(旧版)内のバレーラの言及

【黒人問題】より

…この傾向はその後も継続し,第2次大戦後には黒人人口のうち南部に住む者は約50%となった。一方,この移動のため北部各都市にはブラック・ゲットーと呼ばれる黒人のスラム街ができ上がるが,そのなかでもニューヨークのハーレムは1920年代に黒人文化の中心地となり,ハーレム・ルネサンスと呼ばれる時代を現出した。(5)黒人革命時代 第2次大戦に多数の黒人が参加してから,黒人大衆の自覚が非常に高まった。…

※「バレーラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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