皮肉(読み)ヒニク

デジタル大辞泉 「皮肉」の意味・読み・例文・類語

ひ‐にく【皮肉】

[名・形動]
皮と肉。また、からだ。
六尺の―と共に夜半の嵐に吹き籠めて」〈樗牛滝口入道
うわべだけなこと。また、そのさま。皮相
「年を取るに連れて趣味が―になって行くんだね」〈谷崎蓼喰ふ虫
遠まわしに意地悪く相手を非難すること。また、そのさま。当てこすり。「辛辣しんらつ皮肉を言う」「皮肉口調
期待していたのとは違った結果になること。また、そのさま。「皮肉なめぐりあわせ」
[派生]ひにくさ[名]
[類語]当て擦り当て付け毒舌嫌味揚げ足取り風刺つら当て聞こえよがしアイロニー皮肉る当て擦る文句苦情クレーム不平コンプレイント小言苦言言いがかりいちゃもん風刺物言い難癖咎め咎め立て

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精選版 日本国語大辞典 「皮肉」の意味・読み・例文・類語

ひ‐にく【皮肉】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 皮と肉。転じて、からだ。
    1. [初出の実例]「此是仏祖之皮肉骨髄也」(出典:永平道元禅師清規(13C中)弁道法)
    2. 「Arvina〈略〉Finicuno(ヒニクノ) アイニ アル アブラ」(出典:羅葡日辞書(1595))
    3. [その他の文献]〔漢書‐西域伝下・渠梨〕
  3. うわべ。表面。理解や解釈の浅い所。
    1. [初出の実例]「年老て稽古しがたきゆへ、今に皮肉(ニク)のあいだにかかづらひ侍るものなり」(出典:随筆・戴恩記(1644頃)下)
  4. ( 形動 ) 意地のわるい言動。骨身にこたえるような痛烈な非難。また、遠まわしに意地悪を言ったりしたりすること。また、そのさま。あてこすり。
    1. [初出の実例]「わたしを無理にお前さんの、引っ立てに寄越して、かぶらせようといふ皮肉でござりまする」(出典:歌舞伎・戻橋脊御摂(1813)三立)
    2. 「何でも奥歯に物の挟った様な皮肉(ヒニク)ばかり云ふんですよ」(出典:虞美人草(1907)〈夏目漱石〉一二)
  5. ( 形動 ) 思いどおりにならず、都合の悪いこと。難儀。また、そのさま。「運命の皮肉」
    1. [初出の実例]「芸者や幇間に難儀(ヒニク)をさせるお客なら」(出典:人情本・梅之春(1838‐39)二)

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普及版 字通 「皮肉」の読み・字形・画数・意味

【皮肉】ひにく

表面。また、からだ。〔福恵全書、七、比較〕(完糧奨励)そ錢糧煩多の地と、頑(てうぐわん)すに屬するは、未だ積年逋欠(ほけん)せずんばあらず。嚴に刑比を加ふと雖も、彼(むし)ろ其の皮しめてを立て、挨(延引)せん。

字通「皮」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「皮肉」の意味・わかりやすい解説

皮肉
ひにく

アイロニー

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