バンコマイシン

化学辞典 第2版 「バンコマイシン」の解説

バンコマイシン
バンコマイシン
vancomycin

C66H75Cl2N9O24(1449.27).Streptomyces orientalisの産生するグリコペプチド系抗生物質.塩酸塩は白色の粉末.分解点120 ℃.UV(水)λmax 282 nm(ε 5800).水に易溶,エタノールに難溶.グラム陽性菌,とくに多剤耐性黄色ぶどう球菌(MRSA)に有効な薬剤として有用である.ペプチドグリカン合成段階で,D-Ala-D-Ala基に結合して細胞壁の合成を阻害するが,現在は,バンコマイシン耐性の腸球菌が出現している.塩酸塩が静注で使用される.LD50 489 mg/kg(マウス,静注).[CAS 1404-90-6][CAS 1404-93-9:塩酸塩]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

百科事典マイペディア 「バンコマイシン」の意味・わかりやすい解説

バンコマイシン

化学式はC66H75N9O24Cl2。バンコマイシン・リストセチン系の抗生物質。細菌の細胞壁ペプチドグリカン生合成を阻害する。グラム陽性菌に有効。静脈注射により投与。かなり副作用が強いが,MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などの耐性菌に効く。ただし,最近この抗生物質にも耐性をもつ菌株が報告されている。→MRSA感染症
→関連項目バンコマイシン耐性腸球菌

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