バーミアン(読み)ばーみあん(英語表記)Bāmiān

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バーミアン」の意味・わかりやすい解説

バーミアン
ばーみあん
Bāmiān

アフガニスタン中部、バーミアン州の州都。北のヒンドゥー・クシ山脈と南のコーヒ・バーバー山脈の間のバーミアン盆地に位置する。人口約2万8900(2001推計)。盆地は標高2600メートル、東西10キロメートル、南北1キロメートル、バーミアン川が東流し、アム川に注ぐ。東はシバル峠、ゴールバンド渓谷を経てカブールに通じ、西はバンディ・アミール湖群、北はバルク、南はハザーラジャートに通じる。住民の大半はハザーラ人で、農業に従事。バザールと観光で知られる。

[勝藤 猛]

歴史

古くはインドとバクトリアソグディアナを結ぶ交通の要衝であった。クシャン朝時代から石窟(せっくつ)寺院が営造され、大岩壁に約1000の石窟院がある。中央部に38メートルの大仏が刻まれ、天井に太陽神神像が描かれた。大岩壁の西端近くには55メートルの大仏が刻まれていた。しかし、これらの天井画、壁画、大仏は2001年、イスラム復興主義(原理主義)による偶像崇拝禁止を掲げるタリバン政権により破壊され、大部分が失われた。バーミアンはインドの長方形、トンネル形天井の石窟と異なり、正方形、円堂、八角堂の平面キュポラ(丸屋根)、あるいはラテルネンデッケ(井桁(いげた)持送り式)の天井をもち、ササン朝の建築様式の忠実な模倣とされている。大仏窟をはじめ、多くの窟から壁画が発見され、こうした様式が各地に伝わり、たとえばクチャ周辺の石窟(キジル、クムトラ、クズルガハなど)に影響していることが指摘されている。付近にカクラク石窟、フォラデイ石窟、13世紀モンゴル軍によって全滅したシャリゴルゴラなどがある。

[長澤和俊]

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