バザール(読み)ばざーる(英語表記)bāzār ペルシア語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バザール」の意味・わかりやすい解説

バザール
ばざーる
bāzār ペルシア語

今日ではさまざまな意味で用いられるが、もとはイスラム文化圏特有の市場(いちば)をさすことばであった。アラビア語ではスークsūqという。屋根のある狭い通りの両側商店や職人の工房が並ぶ百貨市場である。モスクの近くに所在し、イスラム教布教のための宗教活動との関係が深いものであった。普通、同一業種で一つのバザールをつくるが、パン屋、肉屋、飲み物屋などはどのバザールにも店を開くことができた。このような伝統的なバザールはしだいに姿を消しつつある。この語がヨーロッパに移って、種々の品を扱う店、百貨店、商店街と意味が広がった。バザールが転じた英語のバザーbazar, bazaarは、前述のような本来の意味のほか、雑貨市、百貨店の特売場、慈善市などをさす。日本語のバザーは慈善市をさすことが多かったが、慈善の意味はしだいに薄れ、社会・公共事業団体、学校、地域住民組織などが品物を持ち寄って即売し、収益をそれらの運営資金にする行事をさすことが多くなった。日本での起源は、1884年(明治17)鹿鳴館(ろくめいかん)で行われた婦人慈善会であるとされている。

[森本三男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バザール」の意味・わかりやすい解説

バザール
Bazard, Saint-Amand

[生]1791. パリ
[没]1832. クルトリー
フランス社会主義者。シャルボヌリ (炭焼き党) の創立者イタリアカルボナリ結社運動を,フランスで実践しようとしたサン=シモン主義者の一人

バザール
bāzār

市場 (いちば) を意味するペルシア語。アラビア語ではスーク sūq。イスラム世界独特の経済機構で,都市では住宅地から独立した区画の中にあり,商店が密集し,雑多な商取引がなされる。

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