パリクティン火山(読み)ぱりくてぃんかざん(英語表記)Volcán Parícutin

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パリクティン火山」の意味・わかりやすい解説

パリクティン火山
ぱりくてぃんかざん
Volcán Parícutin

メキシコ中部、ミチョアカン州パリクティン村に、1943年2月~52年3月の噴火で新生した玄武岩安山岩活火山標高2810メートル。噴火開始の半月前から有感地震が群発し、農夫たちの目前で噴火が発生して比高400余メートルの噴石丘ができ、溶岩流は24平方キロメートルを覆い大被害を生じた。この噴火により、サン・ホセ・パラングリティオ村は溶岩に飲み込まれ全滅した。北海道有珠(うす)山の昭和新山(1944~45年噴火)と相前後して、同様に平らな畑に誕生し、地元民が成長過程を終始よく観測したことで知られる。

諏訪 彰]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パリクティン火山」の意味・わかりやすい解説

パリクティン火山
パリクティンかざん
Volcán Paricutín

メキシコ南西部にある新成火山メキシコ高原の南縁をなす火山帯に属する火山で,ミチョアカン州北西部,ウルアパンの西約 20kmに位置する。世界で最も新しい火山の一つで,タンシタロ山 (3842m) 北東麓の標高 2280mの耕地に,1943年2月 20日に始った噴火活動により形成された。最初の1年間で比高 450mの火山円錐丘に成長,この間噴出した溶岩や火山灰はパリクティン村などの多数の家屋を埋没させた。噴火活動は 52年まで続き,その終了時点でパリクティン火山は標高 2808mに達した。火山の成長過程を知るうえで貴重な事例の一つとなっている。

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