バレダオスタ(英語表記)Valle d'Aosta

改訂新版 世界大百科事典 「バレダオスタ」の意味・わかりやすい解説

バレ・ダオスタ[州]
Valle d'Aosta

イタリア最北西端の州。面積3263km2,人口12万2868(2004)。西のフランス,北のスイスとの国境はモン・ブラン,マッターホルン,モンテ・ローザなどがそびえ,文字どおり高峰に囲まれた谷(バレは〈谷〉の意)に位置するイタリア最小の州である。州都アオスタ。山岳地域のため,おもに牧畜,林業が中心であったが,19世紀以後,イタリアのなかでは比較的豊富でさまざまな鉱物資源(鉄,石炭アンチモン,鉛など)に恵まれているため,急速に採掘および製錬加工が行われるようになり,なかでもコーニェCogneの製鉄業は重要であった。現在は鉱業の占める地位は相対的に低下し,代わって化学,木材加工などの製造業が伸びている。豊富な水力は北部工業地域へのエネルギー源となっている。近年はアルプスをひかえて観光開発が盛んで,クールマユール,サン・バンサンなど多くの観光・保養地がある。11世紀からイタリア統一まで,おおむねサボイア家領地であった。第2次大戦後特別州として自治を認められ,フランス語も公用語とされている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のバレダオスタの言及

【音楽】より

…16世紀末のL.マレンツィオやC.ジェズアルドのマドリガーレは特に大胆な半音階和声を駆使して強烈な感情表現を行い,世紀末的頽廃の香りさえただよわせ始める。16世紀後半のイタリアではまた,ローマのG.P.パレストリーナが教皇庁礼拝堂を中心に清澄な響きのうちでカトリック教会音楽の理想像を実現する一方,ベネチアのサン・マルコ大聖堂では,アンドレアとジョバンニの両ガブリエリを中心に二重合唱の技法や声と楽器の協奏様式が発達して,来たるべきバロック時代を準備する。16世紀の音楽に著しい多様化の傾向は,宗教改革によっても助長された。…

【キリスト教音楽】より

…ただし,他の宗教にも数多くの宗派宗旨があるように,キリスト教にも,カトリックとプロテスタントの二大教会の別があり,それぞれの内部に数多くの教派があって,音楽的伝統も一様ではない。芸術的に見た場合,それらの中でとくに重要なのは,パレストリーナやベートーベンのミサ曲によって代表されるローマ・カトリック教会,バッハのカンタータや受難曲によって代表されるルター派のドイツ福音主義教会,パーセルのアンセムやヘンデルのオラトリオによって代表される英国国教会,ボルトニャンスキーの教会コンチェルトによって代表されるロシア正教会などである。 イエス・キリストの生涯を書き記した新約聖書の福音書には,ただ1ヵ所だけ音楽に言及した個所がある。…

【対位法】より

…この手法は16世紀のモテットやミサ曲で多く用いられ,17~18世紀のフーガへと結晶する。教会旋法に基づく〈旋法的対位法modal counterpoint〉は16世紀後半のパレストリーナで頂点に達した。全音階的な順次進行を主体とする各声部の滑らかな動き,協和音の響きを重視して,不協和音の使用を厳しく制限した清澄な響きは,カトリック教会音楽の理想とたたえられた。…

【ポリフォニー】より

…続くフランドル楽派の時代には,各声部が互いに対等に同一旋律の模倣を行う通模倣様式が確立された。声楽ポリフォニーの頂点は16世紀後半のローマ楽派のパレストリーナによって築かれ,その豊かでなめらかな様式は,その後の対位法の規範となった。同じ頃ベネチア楽派においては器楽ポリフォニーの芸術も開花した。…

※「バレダオスタ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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