ファウスト博士(読み)ファウストハカセ

デジタル大辞泉 「ファウスト博士」の意味・読み・例文・類語

ファウストはかせ【ファウスト博士】

原題、〈ドイツ〉Doktor Faustusトマス=マン長編小説副題友人によって物語られたドイツの作曲家アードリアン=レバキューンの生涯」。1947年刊。古典語教師ツァイトブロームが、友人の作曲家の伝記を書くという体裁で、19世紀末から第二次大戦にかけてのドイツの崩壊過程を、芸術家の破滅的な人生に重ねて描いた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ファウスト博士」の意味・わかりやすい解説

ファウスト博士
ファウストはかせ
Doktor Faustus

ドイツの作家トーマス・マン小説。 1947年刊。作曲家アードリアン・レーバーキューンの生涯を,友人の古典学者ツァイトブロームが綴るという形で,19世紀末以来ドイツのたどった運命を,第2次世界大戦背景にして追究した作品

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世界大百科事典(旧版)内のファウスト博士の言及

【ファウスト】より

…悪魔は彼に魔術の世界を開く鍵を伝授し,数々の奇跡を実行する能力を彼に授けたのである。これに続いてまずイギリスのC.マーロー(1588)が,ドイツではレッシング(断片),ゲーテ,F.M.クリンガー(1791),N.レーナウ(1836),ハイネ(1851,バレエ台本),20世紀に入って,トーマス・マンの《ファウスト博士》(1947),バレリーの《モン・フォースト》(1946)がこのテーマを扱い,ファウスト伝説を豊富にした。ファウスト〈テーマ〉は救済型と破滅型に分かれるが,ゲーテのファウストのみが救済され,他はそれぞれの時代思潮からとられたテーマに従って一般に破滅型である。…

【マン】より

…29年ノーベル文学賞を受けたが,33年ヒトラーの政権掌握後マンは国外講演旅行に出たまま帰国を断念,52年ヨーロッパに戻るまで主としてアメリカで亡命生活を送った。その間第2次大戦たけなわの頃書き始めた《ファウスト博士》(1947)は,ファウスト的・ニーチェ的主人公に托してドイツの運命を描いた作品で,ドイツの〈自己批判の書〉と評価されている。第2次大戦後,ドイツの東西分割に表現される東西対峙のなかで,この状況に批判的なマンの政治姿勢は世界的に高く評価されていた。…

※「ファウスト博士」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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