化学辞典 第2版 「フッ化キセノン」の解説
フッ化キセノン
フッカキセノン
xenon fluoride
【Ⅰ】二フッ化キセノン:XeF2(169.29).Xe過剰でフッ素との混合気体を加熱するか,または紫外線,放射線などを照射すると得られる.透明な正方晶系結晶.密度4.32 g cm-3.融点129.03 ℃.蒸気は無色で悪臭をもつ.乾燥状態では安定で,ニッケル製容器,ガラスまたは石英容器に貯蔵できる.1 mol L-1 NaOHにより加水分解されてXeと O2 とHFになる.フッ素化剤として用いられる.[CAS 13709-36-9]【Ⅱ】四フッ化キセノン:XeF4(207.29).無色の単斜晶系結晶.蒸気も無色.安定性もXeF2とほぼ同様である.XeF2よりやや強いフッ素化剤として用いられる.[CAS 13709-61-0]【Ⅲ】六フッ化キセノン:XeF6(245.28).固体は無色.液体および蒸気は黄緑色.融点49.5 ℃.HFによく溶け,
HF + XeF6 → XeF5+ + HF2-
のように電離する.XeF2,XeF4はHF中ではほとんど電離しない.XeF6も安定な化合物で,Xeフッ化物中で最強のフッ素化剤として用いられる.[CAS 13693-09-9]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報