改訂新版 世界大百科事典 「ブドウネアブラムシ」の意味・わかりやすい解説
ブドウネアブラムシ
Viteus vitifolii
一名ブドウフィロキセラ。半翅目フィロキセラ科の昆虫。体長約1mm,黄褐色を呈し,通常無翅。ブドウの生育を著しく阻害するため,世界各地のブドウ栽培における大害虫として著名であったが,この虫に対する抵抗性の強い接ぎ木用台木の導入が成功して,現在では往時のような大被害の発生はあまり見られなくなった。この種には葉に寄生する型と根に寄生する型があって,前者は葉の裏に向かって膨れる小さな囊状の虫癭(ちゆうえい)の中にすみ,後者は根に瘤を形成してその表面に群生する。モモアカアブラムシやトドノネオオワタムシなどで見られる寄主転換に似た季節的移動が,この種ではブドウの葉と根の間で起きるが,根に寄生する型のみが見られることもある。
執筆者:宮崎 昌久
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報