20~40メートルの低落差で、大水量の場合に用いられる水車。1843年にフランスのジョンバルJonvalが考案した。羽根車は船のプロペラによく似ており、羽根車を通過する水は回転軸と直角方向(半径方向)の速度成分をもたないため、軸流水車とよばれることもある。羽根車はボスに4~8枚の鋳鋼またはステンレス鋳鋼製の羽根を取り付けたもので、落差の大きいものほど羽根枚数が多い。羽根のボスへの取付け軸を負荷の変動に応じて回転させ、つねに合理的な羽根角度に調整できるものをとくにカプラン水車という。部分負荷のときにも効率があまり低下しないため、大型のプロペラ水車としてはほとんどカプラン水車が用いられる。
[池尾 茂]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…現在のような近代的水車の原型とみられるものが現れたのは,18世紀から19世紀にかけてのことである。現在使用されている発電用の近代的水車には,ペルトン水車,フランシス水車,斜流水車,プロペラ水車があり,どの形式を用いるかは,利用可能な有効落差と流量の大小で決まる。また,小出力用水車としてはバルブ水車,貫流水車などがある。…
…ペルトン水車がこれに当たり,ノズルから流出するジェットをランナー周辺のバケットに作用させる構造である。これに対して圧力水頭をもつ流水をランナーに作用させる水車を反動水車と呼び,流水が半径方向にランナーに流入し,ランナー内において軸方向に向きを変えて流出する構造のフランシス水車,ランナーを通過する流水の方向が軸に斜めの斜流水車,ランナーを通過する水が軸方向に流れるプロペラ水車がある。また反動水車を逆方向に回転させることによりポンプ機能をもたせることができるので,このようにしたものをポンプ水車といい,フランシス形,斜流形,プロペラ形に分けられる。…
※「プロペラ水車」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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