翻訳|cast steel
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
鋳物として用いられる鋼.C含有量は0.1~0.5質量% 程度のものが主で,鋳鉄のC量よりはるかに少ないため,溶融温度が高くて鋳造性はよいとはいえないが,鍛造品や圧延鋼材ではつくりにくい複雑な形の製品で,しかも鋳鉄では強度が不足し,かつもろいため長期間の使用に耐えないような機械部品などの製造に利用される.C以外に特別な合金元素を含まないものを普通鋳鋼(0.8質量% 程度までのMnと,0.5質量% 程度までのSiを含む),また特殊な性質を与える目的で合金元素を添加したものを合金鋳鋼という.自動車,そのほかの機械類の部品やブルドーザーのキャタピラ,化学工業などで使うバルブ,ポンプ(ステンレス鋳鋼),鉄道のレールクロッシング(1.2質量% C-12質量% Mnの高Mn鋳鋼),石油化学工業のリフォーマー管などに使われる高圧力遠心耐熱鋳鋼管(0.4質量% C-25質量% Cr-24質量% Ni鋼など),さらには1個数十 t の蒸気タービンケーシング(1質量% Cr-1質量% Mo-0.5質量% V鋼),300~400 t の圧延機用スタンド(普通鋳鋼)などもつくられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
鋼を溶融し、鋳型に注入して凝固させてつくった鋳物を鋼鋳物(はがねいもの)とよび、鋼鋳物に使われる材料を鋳鋼という。もっとも多く使われる鋳鋼は特殊元素を含まない炭素鋼鋳鋼品で、炭素0.2%以下を低炭素鋼鋳鋼、炭素0.2~0.5%を中炭素鋼鋳鋼、炭素0.5%以上を高炭素鋼鋳鋼とよぶ。炭素が増加するにつれて引張り強さは増加し、伸びは減少する。その他の成分はマンガン0.5~0.9%、ケイ素0.2~0.6%程度である。鋳鉄鋳物よりも強さと伸びが大きいので重要強度部材に用いられるが、溶融温度が高く、鋳型との反応も激しく、凝固収縮も大きく鋳造欠陥も生じやすいので十分な欠陥検査と高度な鋳造技術とを必要とする。さらに強度向上のためにニッケル、クロム、モリブデンを数%以内で加えた低合金鋳鋼や、耐腐食、耐熱、耐摩耗の目的でニッケル、クロム、マンガンなどを20%前後まで加えた高合金鋳鋼も広く使われている。
[井川克也]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…鋳造は鋳型で注文どおりの寸法の製品を作るものだから,複雑な形状の製品に適しているが,量産には向かない。鋳鋼は主として機械用の素形材として使われる。鋼にニッケル,クロム,モリブデンなどを添加した合金鋼鋳鋼品は強靱性,耐食性,腐食性等に優れているから,原子力関連の機器の部品や構造物に使われる。…
…グレンとは炭化物とともに黒鉛が析出しているまだら鋳鉄とも呼ばれる組織の状態で,チルドとは炭化物の状態に抑えられている状態をいう。 鋳鋼cast steelとは機械構造用炭素鋼やステンレス鋼などの高合金鋼を鋳造して製造した部材や部品をいう。塑性加工や溶接などによっては製造できない大型部材や,形状が複雑で鍛造ではつくることができず,強さの点では鋳鉄が使えない部品がつくられる。…
※「鋳鋼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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