ベクトル制御(読み)べくとるせいぎょ(英語表記)vector control

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

交流電動機の制御方法の一つ。交流電動機を流れる電流を、トルク(回転力)を発生する電流成分と磁束を発生する電流成分とに分解し、それぞれの電流成分を独立に制御する方式。これにより電動機の回転磁界の磁束の方向と大きさをベクトル量として制御できるようになるため、ベクトル制御とよばれる。英語では磁界方向制御(field orientation control)ともいわれる。

 ベクトル制御の原理を説明する。電動機の端子に流入する交流電流を磁束発生成分電流とトルク発生成分の電流に分解し、それらを電動機の回転と同期して回転する座標上に座標変換する。この座標上では二つの成分の電流とも直流電流となる。しかも、この二つの電流は互いに直交している。したがって、この座標上では磁束成分が他励直流電動機の界磁電流に、トルク成分が直流電動機の電機子電流になっているように考えることができる。そのため、この座標上では他励直流電動機として制御することができる。つまり、直流電流の大きさだけでトルクが決定する。このようにすれば、交流電動機の発生するトルクをトルクセンサーがなくても制御できるようになる。

 ベクトル制御は誘導電動機の制御に多く使われるが、同期電動機の制御にも使われる。ベクトル制御によりトルクが直接制御できるため、精密な速度制御や位置制御などのサーボ制御に交流電動機が使われるようになった。交流電動機をベクトル制御するためには電動機に回転子位置および速度センサーをつけてフィードバック制御するのが一般的であるが、このセンサーを省略するセンサレス制御も行われる。

[森本雅之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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