同期機、誘導機などの交流の電動機や発電機の交流電流と関係する磁界。多相交流電流による磁界を合成すると、一定の大きさ、一定速度で回転するような磁界がつくられる。たとえば、三つの同じ構造(直径、巻数(まきすう)などが同じ)の円形コイルを のように120度ずつずらして配置し、これに三相交流ia、ib、icを流すと、コイルの中心Oには一定速度で回る磁界を生ずる。その速度は、交流の周波数fに比例し、fが50ヘルツなら毎秒50回転の速度となる。回転方向は、コイルに流す三相交流の位相順序によって決まり、ia、ib、icの順に変化しているときは、矢印のように時計の針の向きに回る。また磁界の強さは電流の大きさに比例する。
交流電気機械内に生ずる回転磁界は、断面を示し、これらコイルが固定子鉄心円筒の内面につくったスロット(溝)の中に入れてある(実際の機械では、1相に属するコイルは複数個用いるが、 では1相に1コイルで代表させてある)。三つのコイルを星形に結線して三相電流ia、ib、icを流すと、iaが最大である瞬時には、点線で示した分布の磁界ができ、このような分布状態を保ったまま一定速度で回転する磁界ができる。これが交流電気機械内に生ずる回転磁界で、その速度や回転方向、磁界の強さなどの関係は、 で述べたことと同じになる。 においては、2極の回転磁界を生じているが、コイル数を増し、コイル配置を変えれば、多数極の回転磁界をつくることができる。この場合は極数に反比例し、回転速度が遅くなる。回転数をN(単位は毎分min-1)、電流の周波数をf(単位はヘルツHz)、極数をPとすると、極数と回転磁界の回転速度の関係はN=120f/Pのように表される。
によって考えることができる。a1a2、b1b2、c1c2は、四角形につくられたコイルの回転磁界は二相交流によってもつくることができる。1880年代にN・テスラによって発見された回転磁界は二相交流によるものであった。三相交流による回転磁界を研究し、1889年に電動機として実用化に成功したのは、ドイツの電気工学者ドリボ・ドブロボルスキーである。
[磯部直吉・森本雅之]
誘導電動機などを回転させるために作る,方向が回転する磁界。例えば図1の配置のコイルに図2の電流を流せばできる。回転磁界の回転速度は,磁極の数(コイルの数ではない)を2p,交流の周波数をf(Hz)とすれば,毎秒f/p回転となる。単相交流では簡単に回転磁界を作ることができず,近似的に回転磁界に近づける必要がある。直流電動機は回転磁界を用いるかわりに電機子電流の切替え(整流)をする。
執筆者:曾根 悟
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…図6-bのように各時刻の磁界を調べてみると,起磁力Fは大きさが一定で,交流の1サイクルの間に1回転することがわかる。このような磁界を回転磁界という。広く実用されている三相誘導電動機の場合は,図7のaのように3個の固定子巻線が空間的に120度ずつずらして設けられており,これに三相交流電流を流すと二相機の場合と同様に回転磁界が発生する(一相の巻数と電流最大値を同じとすれば,三相の場合の磁界の強さは二相の場合の3/2倍になる)。…
※「回転磁界」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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