ホスホリパーゼ

デジタル大辞泉 「ホスホリパーゼ」の意味・読み・例文・類語

ホスホリパーゼ(phospholipase)

リン脂質加水分解する酵素総称

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「ホスホリパーゼ」の解説

ホスホリパーゼ
ホスホリパーゼ
phospholipase

レシチナーゼともいう.ホスホリピド(リン脂質),およびその部分加水分解を触媒する酵素の総称.ホスホリパーゼA(EC 3.1.1.4),B(EC 3.1.1.5),C(EC 3.1.4.3),D(EC 3.1.4.4)がある.たとえば,ホスファチジルコリン(レシチン)はそれぞれの酵素により,図に示した加水分解を受ける.ヘビ毒のホスホリパーゼAは分子量3×104Clostridium属のホスホリパーゼCは1×105 である.[CAS 9013-93-8]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「ホスホリパーゼ」の解説

ホスホリパーゼ

 グリセロリン脂質各種エステル結合の加水分解を触媒する酵素.多種類が知られている.A1:[EC3.1.1.32](グリセロールの1位のアシル基を遊離させる),A2:[EC3.1.1.4](グリセロールの2位のアシル基を遊離させる),B:[EC3.1.1.5](リゾグリセロホスホリピドからアシル基を遊離させる),C:[EC3.1.4.3](ホスファチジルコリンが基質),[EC3.1.4.10](ホスファチジルイノシトールが基質),[EC3.1.4.11](ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスリン酸ホスホジエステラーゼが基質),D:[EC.3.1.4.4](塩基との間を加水分解)など.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

百科事典マイペディア 「ホスホリパーゼ」の意味・わかりやすい解説

ホスホリパーゼ

リン脂質加水分解酵素。基質としてレシチンが代表的なためレシチナーゼとも。切断する基質の鎖の位置の違いから,ホスホリパーゼA,B,C,Dなどが区別される。いずれも熱に安定。Aはヘビ毒,ハチ毒膵臓(すいぞう),Bは膵臓,腸内細菌類,Cは脳,肝臓腎臓,脾臓,Dは植物から見出されている。

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世界大百科事典(旧版)内のホスホリパーゼの言及

【消化酵素】より

… 唾液の中にはデンプン分解酵素である唾液アミラーゼ,胃液中にはタンパク質分解酵素であるペプシンがあり,酸性の環境ではたらく。膵液中にはデンプン分解酵素として膵アミラーゼ,タンパク質分解酵素としてトリプシン,キモトリプシン,カルボキシペプチダーゼ,エラスターゼなど,脂肪分解酵素としてリパーゼ,ホスホリパーゼなどがある。これらは中性ないし弱アルカリ領域ではたらく。…

【リン脂質(燐脂質)】より

…この過程には種々の特異性をもつリパーゼが重要な役割を担っている。例えばホスホリパーゼA2はグリセロリン酸の2位のエステルを加水分解し,リゾホスホリピドを生じるが,この物質はさらに分解されるか,アシルCoAからアシル基転移酵素によって別のリン脂質に変化させられる。種々のホスホリパーゼの作用部位をPCを例にとって図5に示す。…

※「ホスホリパーゼ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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