パリの中心地区ボーブールBeaubourgにある芸術・文化活動の諸機能を集めたセンター。正称は〈国立ジョルジュ・ポンピドゥー芸術・文化センターCentre national d'Art et de Culture Georges-Pompidou〉。図書館(BPI。さまざまなインフォメーションも集約),工業創作センター(CCI),音楽・音響の探求と調整の研究所(IRCAM),パリ国立近代美術館(MNAM)などがあり,地域に開かれた活動を目ざしている。同センターの創設に意を注いだポンピドゥー大統領の名を冠し,1977年開館。以来,展覧会,現代音楽のコンサート,前衛演劇など意欲的に多様な活動を行っている。所在地区名をとって〈ボーブール・センターCentre Beaubourg〉の通称もある。センター前広場の大道芸人も有名。
執筆者:馬渕 明子
同センターの建築に際し,国際的な設計競技が行われ,イタリア人ピアノRenzo Piano(1937- )とイギリス人ロジャーズRichard Rogers(1933- )の共同案が実施された。幅166m,奥行き60m,高さ42m。クルップ社製の巨大な鉄骨のトラスのなかに,諸施設のためのスペースが収められており,設備の配管が赤や青の原色に塗られている。〈文化の工場〉というべき大胆なイメージと,自由に内部の改変が可能な計画が,パリの町に衝撃を与えた。見学者の70%は文化施設を利用せず,建物の内部を歩き回るだけで満足して帰るという。
執筆者:鈴木 博之
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