マスタートラスト(読み)ますたーとらすと(英語表記)master trust

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

マスタートラスト
ますたーとらすと
master trust

特定の信託銀行などが、複数の資産運用会社にまたがる年金資産を一元的に管理・運営する業務をさす。企業年金基金などから、保有する株や債券の保管、売買の決済、利子・配当の受取り、会計報告などの業務を一括して請け負う。年金基金にとっては、運用会社別、資産別などの運用状況を把握でき、リスク管理が容易になる利点がある。
 アメリカで広く普及した金融サービスだが、顧客のさまざまな要望に応じて継続的に大規模なシステム投資が必要なため、アメリカではステート・ストリート銀行など主要数行が市場をほぼ独占している。日本政府は1999年(平成11)の規制緩和推進計画に「日本版マスタートラスト」の導入を検討する方針を盛り込み、厚生労働省が2000年に導入しても問題ないとの見解を示したことでマスタートラスト業務が解禁された。ただ巨額投資に備えて金融機関の合従連衡(がっしょうれんこう)が進み、三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)・日本生命保険グループの「日本マスタートラスト信託銀行」、大和銀行(現りそな銀行)・住友信託銀行・中央三井信託銀行グループの「日本トラスティ・サービス信託銀行」、みずほグループ系の「資産管理サービス信託銀行」の3社連合が日本版マスタートラスト業務に参入することになった。
 日本版マスタートラストでは、アメリカのように各運用機関が特定の信託銀行(マスタートラスティ)へ運用指示することは法的に認められていない。このため各運用機関の運用情報をまとめて提供し、運用先の選別などにつなげる情報統合機能にとどまっている。なお2003年には保険業法が改正され、マスタートラストの仲介業務に生命保険会社が参入できるようになった。[矢野 武]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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