メルティングポット(その他表記)melting pot

翻訳|melting pot

デジタル大辞泉 「メルティングポット」の意味・読み・例文・類語

メルティング‐ポット(melting pot)

るつぼ。さまざまな民族が集まり、文化的に溶け合っている米国社会を形容していう。

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改訂新版 世界大百科事典 「メルティングポット」の意味・わかりやすい解説

メルティング・ポット
melting pot

〈るつぼ〉の意であるが,アメリカの社会的文脈のなかでは〈人種のるつぼ〉を意味する。多様な人種,民族による多様な文化がアメリカ社会で溶け合い,新しい生活文化を形成していると考え,その状態をいうときの表現。このようなアメリカ社会をテーマにしたユダヤ系イギリス人の劇作家ザングウィルIsrael Zangwill(1864-1926)の同名のドラマからこの言葉が広まった。しかし1960年代の黒人革命以来,各少数派集団の発言権が高まり,各人種,民族がそれぞれの文化の特色を失わず,それが全体の調和を構成する複合的な文化多元主義cultural pluralismの国を目ざすべきだという考えが強まると,メルティング・ポットに代わって〈鉢に盛られたサラダsalad bowl〉という表現が使われるようになった。
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百科事典マイペディア 「メルティングポット」の意味・わかりやすい解説

メルティング・ポット

米国における,多様な民族がたがいに融合し,民族のアイデンティティに代わって皆が〈アメリカ人〉という一つのアイデンティティを持つことを理想とする〈融和〉論をさす。メルティング・ポット(るつぼ)の喩えは,異なる民族間の結婚を賛美する劇(1908年)の題名に由来する。しかし20世紀後半には,各民族の独自性は他と融和しがたいものという現実認識が深まり,民族固有の文化を尊重し合おうという多文化主義説得力を持ち始めた。〈サラダ・ボウル〉論とも呼ばれる多文化主義は,サラダの中のそれぞれの野菜が他と混じって新しい別の野菜になりはしないように,民族の独自性が保持される社会を志向する。

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世界大百科事典(旧版)内のメルティングポットの言及

【アメリカ合衆国】より

…たとえば,19世紀にはスペインやドイツ系集団から多数の単語を吸収し,アメリカ・インディアンの地名も数多く残されている。一見,英語はメルティング・ポットの信念を証拠だてているようにみえるが,しかし英語以外の言語を話す集団が各地に存在する。スペイン語は南西部に広く用いられており,フランス語はルイジアナ州,ミシシッピ州,メーン州の一部で用いられている。…

※「メルティングポット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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