ヨロイグサ(読み)よろいぐさ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨロイグサ」の意味・わかりやすい解説

ヨロイグサ
よろいぐさ
[学] Angelica dahurica (Fisch.) Benth. et Hook.

セリ科(APG分類:セリ科)の多年草。本州(中国地方)、九州に分布し、朝鮮半島、シベリア東部、中国東北部、内モンゴル、河北省、山西省にも分布する。栽培は奈良県吉野郡、北海道のほか、中国東北部でも行われている。茎は中空で、紫紅色を呈して高さ1~2メートル、上部で分枝し、7~8月に複散形花序をつける。根生葉と茎の下部の葉は有柄、大形で、2~3回3出羽状複葉をなす(葉の形態については「複葉」の項を参照)。葉柄の基部は広がり、鞘(しょう)となって茎を包む。花には萼(がく)がなく、白色の花弁5個からなる。

[長沢元夫 2021年12月14日]

薬用

漢方では、根を白芷(びゃくし)または和白芷(わのびゃくし)といい(局方名はビャクシ)、発汗解熱利尿鎮痛、排膿(はいのう)、浄血剤として、感冒、頭痛、歯痛、神経痛、婦人病、化膿症、蓄膿症などの治療に用いる。中国の浙江(せっこう)省で栽培している抗白芷、四川(しせん)省の川白芷(せんびゃくし)は変種のタイワンシシウドvar. formosana (Boiss.) Shan et Yuanによるもので、品質はよい。この種は浙江省福建省台湾に分布している。

[長沢元夫 2021年12月14日]

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