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ヨーロッパ市民 よーろっぱしみん

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知恵蔵2015の解説

ヨーロッパ市民

EU加盟国の国民一人ひとりが、国境を越えた統合欧州の一構成員として自己認識するための表現。欧州共同体(EC)時代の1974年12月、パリ首脳会議で初めてこの言葉が登場した。84年6月の欧州理事会によって「人々のための欧州委員会」(通称アドニノ委員会)が組織され、85年、域内国境管理廃止や人の移動に伴う構成国市民の政治的権利に関する報告が提出された。同年、欧州委員会は欧州人のアイデンティティー育成のためにECの旗とECの歌(歓喜の歌)を制定した。共通パスポートについては70年代半ばごろから議論され、85年に共通デザインのパスポートが導入された。96年にはEU共通形式の運転免許証が導入された。93年発効の欧州連合条約(マーストリヒト条約)において、「加盟国の国籍を有する人は全てEUの市民となる」と、「EU市民権(Citizenship of the Union)」が銘記され、具体的な権利として、市民の移動・居住の自由、国籍国以外の加盟国に住むEU市民に居住国での欧州議会地方議会での選挙権と被選挙権付与、自国の在外公館が存在しない第三国における外交的保護権、欧州議会の請願権、オンブズマンに訴える権利などが定められた。EUは市民に「公民的な権利」を与え、EUへの帰属意識を自覚させたのである。しかし、一連の統合の発展・深化にもかかわらず、欧州議会選挙の投票率は伸び悩み、EU市民の参加意識は高まっていない。2005年5月と6月のフランスオランダEU憲法条約の批准拒否は、依然としてEU市民意識が加盟国の国民の中に根付いていないことを改めて認識させることになった。

(渡邊啓貴 駐仏日本大使館公使 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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