ラベット(読み)らべっと(英語表記)William Lovett

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラベット」の意味・わかりやすい解説

ラベット
らべっと
William Lovett
(1800―1877)

イギリスチャーティスト運動の代表的指導者。モラルフォースとよばれる穏健派に属した。コーンウォールのニューリンに生まれる。1821年ロンドンに移って家具製造工となり、協同組合運動や政治運動に参加、頭角を現した。1838年の人民憲章起草に参加し、翌1839年第1回チャーティストの全国大会で書記に選出され、同年7月にバーミンガム暴動の責任を問われて逮捕されるなど、初期チャーティスト運動に重要な役割を果たした。1840年7月の出獄後は教育啓蒙(けいもう)を重視する「知識チャーティズム」を主唱し運動の主流から離れたが、独自の立場から改革運動を続けた。

[岡本充弘]

『ラベット著、浜林正夫訳『教育についての訴え』(『世界教育学全集 第51巻』所収・1970・明治図書出版)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラベット」の意味・わかりやすい解説

ラベット
Lovett, William

[生]1800.5.8. コーンウォール,ニューリン
[没]1877.8.8. ロンドン
イギリス,チャーティスト運動の指導者。労働者としてロンドンに出て,協同組合運動に関与。 1831年全国労働階級同盟に入り,32年逮捕された。 36年ロンドン労働者協会の結成に参加,その指導者となる。議会改革を主張,37年初め人民憲章の起草にあたり,翌 38年5月に公表,全国に配布した。 39年チャーティスト総会で書記となり,請願の準備中逮捕されたが,40年釈放。"Chartism"を出版,教育に期待をかけ全国人民政治社会改良協会を組織して中産階級との協力を目指した。そのため F.オコンナーから非難された。 46年奴隷制反対連盟評議員。 49年以降大衆教育に尽力

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