コーンウォール(読み)こーんうぉーる(英語表記)Cornwall

翻訳|Cornwall

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コーンウォール」の意味・わかりやすい解説

コーンウォール
Cornwall

イギリスイングランド南西端の単一自治体(ユニタリー unitary authority)。コーンワルともいう。行政府所在地トルロー。2009年に県から単一自治体に移行した。イングランド南部から南西方向に突出してブリストル海峡イギリス海峡を分ける半島の先端部を占める。古生代末期のアルモリカ造山運動の影響を強く受けた地域で,大部分褶曲を受けた旧赤色砂岩層からなるが,ところどころに花崗岩の貫入がみられ,長い浸食作用の結果,これら花崗岩が露出し,ボドミンムア台地をはじめとする台地やシリー諸島を形成している。イギリス海峡に面する南岸にはリアス海岸が発達し,テーマー川,フォイ川,ファル川などの川の河口部は樹枝状の入江となっている。早くから人が住んでいた地域で,ドルメンメンヒルアリニュマンなど先史時代の巨石記念物が多い。イギリスの先住民であるケルト系のブリトン人は,この地域で 11世紀頃までアングロ・サクソン人の支配に抵抗,ケルト系の言語は 18世紀まで用いられており,地名などにその名残りがみられる。鉱物資源に恵まれ,古くから銅やスズなどがとれるほか,花崗岩,カオリンなどが採掘される。18~19世紀当時の姿を残す採掘施設は 2006年世界遺産文化遺産に登録された。主産業は農業で,穀物飼料作物ジャガイモなどが栽培され,市場園芸も盛ん。西部では酪農が重要。風光と気候に恵まれ,近年観光業が発展し,かつての小漁港が海浜保養地としてにぎわう。南部沿岸では漁業も行なわれる。工業はあまり発展していない。面積 3546km2。人口 53万1100(2009推計)。

コーンウォール
Cornwall

カナダ,オンタリオ州東部の都市。セントローレンス川北岸にある。 1784年に王党派の人々が移住。 1843年にセントローレンス川の早瀬を避ける運河が開通してからは,酪農,混合農業地帯の中心的な港となった。アメリカ合衆国側とは橋で結ばれている。レーヨン,綿,パルプ工業が立地する。また,セントローレンス水路公社のカナダ側の本社がおかれている。人口4万 7137 (1991) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コーンウォール」の意味・わかりやすい解説

コーンウォール(イギリス)
こーんうぉーる
Cornwall and Isle of Scilly

イギリス、イングランド南西端、コーンウォール半島の先端部を占めるカウンティ(県)。県域にはシリー島を含み、面積は3559平方キロメートル、人口50万1267(2001)。県都ボドミンBodmin。半島部の海岸線は出入りに富み、断崖(だんがい)と砂浜、岬と入り江が交錯する。冬はイギリス諸島でもっとも暖かく(ランズ・エンド岬の1月の月平均気温は6℃)、南海岸の年間日照時間は長い。恵まれた環境により、全国から観光、行楽の人々が訪れ、観光業を含むサービス業は県内随一の産業になっている。そのほか、採石業、漁業、農業、船舶修理業、機械工業が主要産業。古代には著名な錫(すず)の産地で、ギリシアフェニキアの商人の間にも知れ渡っていた。かつてケルト語派ブリタニック諸語の一つであるコーンウォール語が話され、英語に駆逐されて18世紀末には消滅したが、地名などの一部に残存し、その保存・研究が行われている。

[久保田武]

世界遺産の登録

コーンウォールから西デボンにかけての鉱山景観とその施設が2006年、ユネスコ(国連教育科学文化機関)により「コーンウォールとウェストデボンの鉱山景観」として世界遺産の文化遺産(世界文化遺産)に登録された。

[編集部 2018年5月21日]


コーンウォール(カナダ)
こーんうぉーる
Cornwall

カナダ、オンタリオ州南東部の工業都市。人口4万5640(2001)。セント・ローレンス川北岸に臨み、オタワ南東85キロメートルに位置する。コーンウォール運河敷設に伴い河港となる。織物、製紙、木材加工業が行われる。建設は1776年と比較的新しい。

[山下脩二]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例