改訂新版 世界大百科事典 「ルノード」の意味・わかりやすい解説
ルノード
Théophraste Renaudot
生没年:1586-1653
フランス最初の新聞《ガゼットGazette》の創刊者。ルーダンに生まれる。1605年,古い歴史と自由な空気を誇るモンペリエ大学医学部卒業後,故郷で外科を開業。失脚中のリシュリューの知遇を得,その政界復帰(1624年にルイ13世の宰相となる)とともにルノードもパリに移住した。王や宰相を後ろだてに,かねて関心のあった貧民救済やさまざまな事業に手をつけた。なかでも後世への影響が最大だったのが,31年5月30日の週刊紙《ガゼット》の創刊である。最初4ページ立てだった《ガゼット》は,同年11月から《各地通信》4ページがつけたされた。これは,第2次世界大戦後の研究によると,《ガゼット》よりいくらか早く創刊されていた《各地通信》を,宮廷をバックにしたルノードが吸収合併したもののようである。しかし《ガゼット》(のち《ガゼット・ド・フランス》と改称)がフランス最初の新聞で,ルノードは〈フランス新聞の祖〉だとするのがいまなお通説である。1925年彼にちなんだ文学賞〈ルノード賞〉が設けられ,26年から授賞が開始された。対象となるのは小説で,授賞日はゴンクール賞と同日である。
執筆者:稲葉 三千男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報