…宮武外骨の《奇態流行史》に〈肉眼になんら欠点なき者までかけることになった〉とある。1920年ころ欧米で大型レンズの眼鏡が青年男女に好まれ,日本でも映画の影響で〈ロイド眼鏡〉がはやった。30年ころから衣装デザイナーが眼鏡をも手がけだし,眼鏡に対する感覚が大きく変化してきた。…
…ネブラスカ州バーチャードの写真屋の子として生まれ,旅回り劇団の端役から映画のエキストラをへて,やがてエキストラ仲間だったハル・ローチHal Roachの設立したロリン・フィルム社で短編喜劇〈ロンサム・リューク〉もの100本余りに出演する。そしてそののち,当時アメリカの都会のどこにでも見られたグレーのフランネル・スーツにストロー・ハット,丸い眼鏡(のちに〈ロイド眼鏡〉と呼ばれるトレードマークになった)というスタイルの新しいキャラクターをつくり出し,チャップリンの亜流のイメージから脱却する。その後パテー,パラマウントと契約して長編《要心無用Safety Last》(1923),《ロイドの人気者The Freshman》(1925)等々,正義派の青年を主人公とし,喜劇としての〈芸〉よりもアイデアと構成,軽快なテンポではらはらさせながら見せるロイド喜劇を次々に生み出して,それらはいわば典型的なアメリカ小市民の楽天主義を代表するものとなっている。…
※「ロイド眼鏡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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