ロイド(読み)ろいど(英語表記)Harold Lloyd

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロイド」の意味・わかりやすい解説

ロイド
Loyd, Sam

[生]1841.1.30. ペンシルバニア,フィラデルフィア
[没]1911.4.10. ニューヨーク,ニューヨーク
アメリカ合衆国のパズル作家。本名 Samuel Loyd。チェスプロブレム(詰チェス)やパチシなどのゲームを創作したことで知られる。工学を学び,蒸気・機械エンジニアの免許を取得したが,その後さまざまな事業に携わり,やがてチェス・プロブレムやパズルの制作だけで生計を立てられるようになった。14歳のときからチェス・プロブレムを考案し始め,17歳でアメリカ随一のチェス・プロブレム作局家として認められるようになった。1860年から,一流のチェス・マスターであるポール・モーフィーが編集する "Chess Monthly"誌のプロブレム欄を担当。1868年に出版されたプロブレム集 "American Chess-Nuts"に問題を寄稿し,1878年には自著のプロブレム集 "Chess Strategy"を出版した。その後,チェス・プロブレムからパズルやゲームに関心を移し,15パズル,トリック・ドンキー,ピグス・イン・クローバー,パチシなどを考案した。のちに息子もロイドのパズル制作に加わり,1896年頃からは親子で執筆したパズル欄が通信社を通じて多くの新聞や雑誌に掲載されるようになった。ロイドのパズルの大きな特徴は,単純な代数的数式をそれとはわからないように巧妙に利用している点である。

ロイド
Lloyd, John Selwyn Brooke

[生]1904.7.28. リバプール
[没]1978.5.17. プレストン,クローマーシュ
イギリス政治家ケンブリッジ大学卒業後,弁護士を開業。第2次世界大戦勃発とともに従軍,1944年准将としてノルマンディー上陸作戦に参加し武勲を立てた。戦後 45年に保守党から下院議員として政界に入り,第6回国連総会にイギリス代表の一員として出席,第7回総会では首席代表となった。 51年 W.チャーチル内閣の国璽尚書,51~54年無任所相,54年供給相,55年国防相。 55~60年 R.イーデン内閣の外相。 59年9月 17日第 14回国連総会で,実質的に西側諸国を代表して3段階の包括的軍縮案を提出した。 60~62年蔵相,63~64年国璽尚書兼下院院内総務,71年下院議長。

ロイド
Lloyd, George Ambrose, 1st Baron Lloyd

[生]1879.9.19. イギリス,ウォリックシャー
[没]1941.2.4. ロンドン
イギリスの政治家。イートン校,ケンブリッジ大学を卒業後,アジア北アフリカを旅行。いったん実業界に入ったが,1905年トルコ駐在イギリス大使補佐官。保守党所属下院議員となって活躍 (1910~18,24~25) 。第1次世界大戦中はロシア中近東で活動。戦後ボンベイ総督,エジプト=スーダン高等弁務官,植民相を歴任。 25年男爵。

ロイド
Lloyd, Marie

[生]1870.2.12. ロンドン
[没]1922.10.7. ロンドン
イギリスの女性芸人。本名 Matilda Alice Victoria Wood。 1885年初舞台を踏み,1891~93年のドルアリー・レーン劇場パントマイムをはじめ,イギリスの一流のミュージック・ホールに出演。機知と節度ある芸で,長年スターとして親しまれた。

ロイド
Lloyd, Harold

[生]1893.4.20. ネブラスカ,バーチャード
[没]1971.3.8. ハリウッド
アメリカの喜劇映画俳優。 1912年映画界に入り,17年以後トレードマークのロイド眼鏡とカンカン帽を着け,アメリカ的な青年気質をコメディーに表現して人気を得た。サイレント喜劇映画の黄金時代をつくった一人。主作品『要心無用』 (1923) ,『ロイドの人気者』 (25) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロイド」の意味・わかりやすい解説

ロイド(Harold Lloyd)
ろいど
Harold Lloyd
(1893―1971)

アメリカの映画俳優。ネブラスカ州バーチャード生まれ。エキストラをしていた1914年、後の名プロデューサー、ハル・ローチと知り合い喜劇役者となる。16年、ボストン型のいわゆるロイド眼鏡にカンカン帽、フランネルのスーツを着たキャラクターを創造し、現実離れした扮装(ふんそう)をしたそれまでの喜劇役者と逆に、どこにでもいるアメリカ青年のイメージを押し出した。『要心無用』(1923)、『猛進ロイド』(1924)、『ロイドの人気者』(1925)など、気弱だがまじめで義侠心(ぎきょうしん)のある青年が危険な状況にたたされ、なんとか切り抜けるという役柄を演じて人気を得た。ギャグよりもむしろキャラクターの普遍性でアメリカ喜劇映画に大きな影響を与え、チャップリン、バスター・キートン、ハリー・ラングドンとともに四大喜劇王の1人と数えられた。

[出口丈人]


ロイド(John Selwyn Brooke Lloyd)
ろいど
John Selwyn Brooke Lloyd
(1904―1978)

イギリスの政治家。ケンブリッジ大学を卒業後、弁護士となり、第二次世界大戦ではモンゴメリー将軍の参謀としてノルマンディー上陸作戦に参加。1945年保守党下院議員。供給相、国防相を経て、1955年イーデン内閣の外相に就任。スエズ戦争ではエジプト攻撃にあたって中心的役割を果たした。その後、財務相、国璽尚書(こくじしょうしょ)を歴任、1971~1976年には下院議長を務めた。

[木畑洋一]

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