朝日日本歴史人物事典 「ヴァン・リード」の解説
ヴァン・リード
生年:1835
幕末維新期に来日した冒険的アメリカ商人。カリフォルニア出身(オランダ系)。浜田彦蔵と知り合ったのが縁で安政6(1859)年来日,神奈川領事館や横浜のアメリカ系商会で働き,いったん帰国。日本人労務者350人調達を請け負い,ハワイ国駐日総領事の肩書で慶応2(1866)年12月再来日。日本ハワイ条約締結を図るが,商人領事だと知れて不首尾に終わる。翌年幕府神奈川奉行所から180人分の渡航免状を取り,手始めに42人の日本人をグアムへ送り,新政府神奈川裁判所による外交事務接収後その許可を待たず141人をハワイへ送り出し,強引に日本人海外出稼ぎの端緒を開く。この間,『もしほ草』(外国新聞記事抄訳掲載紙)を創刊(1868),戊辰戦争では武器売り込みなどにも従事した。明治3(1870)年東京で私設ミニ取引所を無断で開き問題化することとなる。その他の問題も未解決のままホノルルで急死した。
(廣瀬靖子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報