ヴェネツィア(その他表記)Venezia[イタリア],Venice[英,フランス]

山川 世界史小辞典 改訂新版 「ヴェネツィア」の解説

ヴェネツィア
Venezia[イタリア],Venice[英,フランス]

北イタリア北東部,アドリア海に面する水上都市。6世紀後半にランゴバルド侵入を逃れるために本土の住民がラグーナ(潟)の諸島に移住したことにより都市として発展。7世紀にはビザンツ帝国の支配を脱して事実上独立し,10世紀に入るとアドリア海一帯に勢力を伸長した。12世紀以降,十字軍に乗じて地中海東部に領土や商業圏を拡大。地中海貿易の支配権をめぐってジェノヴァと長く抗争を続けたが,14世紀半ばに勝利した。15世紀に入ると内陸にも領土を獲得してイタリア半島の強国の一つとなる。だが,16世紀以降,地中海商業の衰退とともに国力が衰え,オスマン帝国の拡大により東地中海の領土をしだいに失う。1797年,ナポレオン侵攻により独立を喪失。ウィーン会議後はオーストリア領となるが,1866年プロイセン‐オーストリア戦争の際にイタリア王国に併合された。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ヴェネツィア」の解説

ヴェネツィア
Venezia

イタリア北東部,アドリア海の北岸にある水上都市。118の島からなり,運河通路とする。英語名はヴェニス
5世紀にアッティラの侵入を避けた難民によって建設され,7世紀末にビザンツ帝国から独立して共和国となり,民会で総督ドージェ)を選出した。強力な武装艦隊を擁して10世紀ごろから地中海に発展し,第4回十字軍では商敵コンスタンティノープルを攻略した。ジェノヴァともしばしば争った末,14世紀末にこれを破り,東方貿易の中心地として最盛期をむかえて,“アドリア海の女王”と讃えられた。その領土は北イタリア・アドリア海東岸におよび,人口は20万を数えたが,インド航路の発見,オスマン帝国の攻撃などにより16世紀から衰運にむかい,ナポレオン1世に攻略されて独立を失った。ウィーン会議後はオーストリア領となり,1866年イタリア王国に併合された。

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