一夏(読み)イチゲ

精選版 日本国語大辞典 「一夏」の意味・読み・例文・類語

いち‐げ【一夏】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「一夏九旬(いちげくじゅん)」の略 ) 仏語。安居(あんご)を行なう、四月一六日から七月一五日までの夏の九〇日間。また、安居のこと。ひとなつ。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「一夏を勤め行ふ事十余度也」(出典:今昔物語集(1120頃か)一三)
    2. 「一夏のあひだを勤めつつ、昼夜に信心怠らず」(出典:梁塵秘抄(1179頃)二)

ひと‐なつ【一夏】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 夏三か月の間。夏いっぱい。〔いろは字(1559)〕
    1. [初出の実例]「彼の息子や孫が一夏を過していた」(出典:湯葉(1960)〈芝木好子〉)
  3. 過ぎ去ったある年の夏。
    1. [初出の実例]「ひと夏(ナツ)本山から寺へ使僧が立った事があった」(出典茶話(1915‐30)〈薄田泣菫〉それ猫が)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

とっさの日本語便利帳 「一夏」の解説

一夏

仏教で、僧侶が夏に修行のため一室にこもる九〇日間のこと。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

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